「黒糖」と「黒砂糖」の違い、知っていますか?沖縄の文化「ジュウジジャー」「サンジジャー」に学ぶ、本物の”純黒糖”の選び方と楽しみ方

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うむいちゃんが透明の飲み物を片手に黒糖をつまむ様子を描いたちびキャラ風イラスト

黒糖と黒砂糖の違いは“原料と製法”です。黒糖はサトウキビの搾り汁をそのまま煮詰めた無精製糖。黒砂糖は精製糖に糖蜜などを加えた調整糖。買うときは原材料表示が『さとうきびのみ』=純黒糖と覚えてください。

「黒糖(こくとう)」あるいは「黒砂糖(くろざとう)」。 そう聞くと、多くの人がミネラル豊富で体に良さそうな、あの独特の風味を持つ茶色い砂糖の塊を思い浮かべるかもしれません。

ですが、いざスーパーで手に取ろうとすると、「黒糖」と書かれた商品もあれば「黒砂糖」と書かれた商品もあり、さらに言えば「加工黒糖」というものまで存在します。

「一体、何が違うの?」 「私が求めている、あのサトウキビの風味豊かな『本物』はどれ?」

この記事は、そんなあなたの素朴な疑問に答え、奥深い黒糖の世界をご案内するものです。

あなたが本当に知るべき「純黒糖」と「加工黒糖」の見分け方を徹底的に解説します。

さらに、サトウキビの産地・沖縄で今も息づく「ジュウジジャー・サンジジャー」という素敵な休憩文化と共に、本物の黒糖の選び方、生産する島によって全く異なる「味の違い」 、そしてカビさせない「正しい保存方法」  まで、詳しくご紹介します。

この記事を読んでわかること
  • 黒糖と黒砂糖の違い(純黒糖と加工黒糖とは)
  • 沖縄におけるさとうきび栽培の歴史と黒糖の深い関わり
  • 黒糖に含まれる栄養素と独特の風味(白砂糖との比較)
  • 沖縄の伝統菓子「アガラサー」で味わう黒糖の魅力
この記事を書いた人

はいたい!管理人の「うむい」です。
保有資格
・管理栄養士
・調理師
病院食・学校給食、行政の料理教室講師などで、食と健康の専門家として合計17年の実務経験を積む。 現在は行政の立場から、住民の健康増進をサポート。
現在も、行政の立場から住民の皆さまの健康増進をサポートする仕事に携わっています。

目次

【ここが最重要!】「純黒糖」と「加工黒糖」の決定的な違い

「純黒糖=さとうきび100%/加工黒糖=粗糖+糖蜜などをブレンド。」

見た目がそっくりな茶色い砂糖でも、その中身は全く異なる二つのカテゴリに分類されます。それが「純黒糖」と「加工黒糖」です。黒糖を選ぶうえで最も大切なのが、この2つの違いを理解することです。

「純黒糖」とは? | 原材料は「さとうきび」だけ

農作業服に着替えたうむいちゃんがサトウキビを搾って黒糖の原料となる汁を出している様子のイラスト

パッケージの「原材料表示」で見分ける方法

どこを見れば純黒糖?

原材料が『さとうきび』のみ。『粗糖・糖蜜』が先に書かれていれば加工黒糖です。

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「純黒糖(じゅんこくとう)」とは、サトウキビの搾り汁だけを使い、それを煮詰めて固めたものです。他の原料(粗糖や糖蜜など)は一切加えていません。

サトウキビが大地から吸い上げたミネラルや風味をそのまま閉じ込めた、まさに「サトウキビのジュースを固めたもの」です。

特に、沖縄県の8つの離島(伊平屋島、伊江島、粟国島、多良間島、小浜島、西表島、波照間島、与那国島)で作られたものだけが、組合の認証マークである「沖縄黒糖」の表示を許可されており、その品質は法的に保護されています 。   

「加工黒糖」とは? | 粗糖や糖蜜をブレンド

農作業服を着たうむいちゃんが黒糖作りの工程でサトウキビ汁に粗糖と糖蜜を加えて混ぜている横長イラスト

「加工黒糖(かこうこくとう)」とは、純黒糖に粗糖(そとう)糖蜜(とうみつ)などを加えて、風味や形を調整したものです。

「粗糖」とは、サトウキビの搾り汁から不純物を取り除いて結晶化させたもので、私たちが知る「白砂糖」を作るための中間原料です。

つまり、「加工黒糖」の多くは、白砂糖の原料である「粗糖」をベースに、風味付けのために「純黒糖」や「糖蜜」をブレンドして作られています。純黒糖100%ではないため、価格が安価な傾向にあり、スーパーなどで広く流通しています。

白砂糖や三温糖とは何が違うの?

白砂糖・三温糖・黒糖を皿に盛って並べた比較イラスト。うむいちゃんの画風で描いた横長構図

では、私たちが普段使う白砂糖や、同じ茶色い「三温糖」とは何が違うのでしょうか。それは「製法」と「風味」に根本的な違いがあります。

違いは「精製」されているかどうか

白砂糖(上白糖)やグラニュー糖、そして茶色い三温糖などは、すべてサトウキビの搾り汁からミネラル分などを意図的に取り除く「精製」という工程を経て作られます。

(※「三温糖」の茶色は、ミネラルが残っているからではなく、製造工程の最後で糖蜜を加熱して「カラメル化」させた色と香りです。栄養成分的には白砂糖とほぼ変わりません)

一方、「純黒糖」はサトウキビの搾り汁をそのまま煮詰める「無精製」の砂糖です。

風味と「コク」の違い

精製された白砂糖は、クセがなくスッキリとした甘さで、どんな料理にも使いやすいのが特徴です。

対して、無精製の純黒糖は、サトウキビ本来の風味がそのまま残っています。そのため、単なる甘さだけでなく、独特の深い「コク」や、ほのかな「苦味」「香り」があり、料理やお菓子に使うと風味全体を豊かにしてくれます。

沖縄の知恵「ジュウジジャー」と「サンジジャー」

純黒糖は、沖縄の人々の生活に深く根付いています。それを象徴するのが「ジュウジジャー」と「サンジジャー」という、今も続く大切な習慣です。

10時と15時は、お茶と黒糖でエネルギーチャージ

サトウキビ畑で作業着姿のうむいちゃんがお茶と黒糖を持って休憩している横長イラスト
  • 「ジュウジジャー」 = 10時の休憩・おやつの時間
  • 「サンジジャー」 = 15時の休憩・おやつの時間    

「ジャー」は沖縄の方言で「〜の時間」といった意味合いで使われます。10時と15時になると、仕事や家事の手を休め、お茶とお菓子で休憩を取る文化です。

畑仕事と熱中症予防から生まれた文化

この習慣は、単なるリフレッシュ以上の、実用的な意味を持っていました。

かつて炎天下のサトウキビ畑などで重労働をする人々が、こまめに休憩を取り、熱中症予防やエネルギー補給をするために生まれた「生活の知恵」なのです。   

この時、水筒に入れたお茶(さんぴん茶など)と一緒に、黒糖をひとかけら「そのまま」かじるのが、沖縄の伝統的なエネルギーチャージの方法でした。

汗と共に失われる塩分やカリウムといったミネラル分と、エネルギー源となる糖分を、純黒糖ひとつで同時に補給できる。

これは、現代のスポーツドリンクと同じくらい理にかなった、沖縄の気候と労働が生んだ知恵なのです。

産地で味も香りも違う!沖縄「8島」の黒糖の個性

「純黒糖」の最も奥深く、面白い点は、作られる島によって味や香りが全く異なることです。

これは、ワインやコーヒーでいう「テロワール(産地の風土)」の違いそのもの。島の土壌、天候、サトウキビの鮮度などが違うためです。

ここでは「沖縄黒糖」ブランドである8島の代表的な特徴をご紹介します。   

スクロールできます
島名主な特徴(味)食感その他(産地など)
波照間島優しい甘さ、ほのかな苦味と塩味日本最南端。バランスが良い。
西表島クセが少なくマイルド、深いコクしっとり(チョコのよう)豊かな自然。
与那国島はっきりとした塩味、素朴な甘さ柔らかい(ほろっと崩れる)日本最西端。
小浜島ガツンと濃厚な甘みとコクしっとり(色が濃い)昔ながらの味わい。
多良間島8島で特に甘みが強い堅め
粟国島あっさりした甘み、塩とのバランス◎ほろっと溶ける(粒子が細かい)クセや苦味が少ない。
伊江島甘さ控えめ、塩味が強めシャリシャリキリッとした味わい。
伊平屋島強い風味、程よいビター感(苦味)サトウキビの青い香り。

波照間島産は島民の間で泡波のツマミとして食されている。

沖縄の素朴なおやつ「アガラサー」を作ってみよう【レシピ】

沖縄の蒸し菓子アガラサーを皿に盛って描いた横長イラスト。うむいちゃんの画風で表現したアガラサーの特徴が分かる画像

黒糖の楽しみ方は、そのままかじるだけではありません。「ジュウジジャー」のおやつとしても定番の、沖縄の伝統的な蒸しパン「アガラサー」をご紹介します。

アガラサーとは?

「アガラサー」とは、沖縄の方言で「蒸しパン」のこと。小麦粉と黒糖、ベーキングパウダーなどを水で溶いて蒸すだけの、非常に素朴で懐かしいおやつです。

材料と簡単な作り方(約15〜20分)

[材料(小さめのカップ4〜5個分)]

  • 小麦粉(薄力粉) … 100g
  • 黒糖(粉末タイプ) … 50g〜70g(お好みで調整)
  • ベーキングパウダー … 小さじ1
  • 水(または牛乳) … 100ml

[作り方]

  1. ボウルに小麦粉、黒糖(粉末)、ベーキングパウダーを入れ、泡立て器でよく混ぜ合わせます。(粉をふるう代わりになります)
  2. (1)に水(または牛乳)を加え、ダマがなくなるまでさっくりと混ぜます。
  3. 耐熱性のカップ(紙カップやシリコンカップなど)に、生地を7〜8分目まで流し入れます。
  4. 湯気が立った蒸し器に入れ、強火で約10〜15分蒸します 。竹串を刺して、生の生地がついてこなければ完成です。 (※蒸し器がない場合は、フライパンに2〜3cmほど水を入れ、お皿を置いてその上にカップを並べ、蓋をして蒸しても作れます)   

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ミックスを使わない派は純黒糖(粉末)をこちら

純黒糖(粉末)|お菓子・料理用の使いやすいタイプ

黒糖の豆知識【カビさせない!正しい保存方法】

純黒糖の扱いで、最も質問が多いのが「保存方法」です。「冷蔵庫に入れたらカチカチに」「常温に置いたらカビが生えた」という経験はありませんか?

なぜカビやすい?常温?冷蔵庫?

「純黒糖」は、白砂糖と違って水分やミネラル分を多く含んでいます。そのため、高温多湿の場所にそのまま置いておくと、湿気を吸ってカビが生えやすいデリケートな食品です 。   

では、冷蔵庫に入れれば良いのでしょうか?

沖縄県黒砂糖協同組合(生産者の組合)によると、黒糖の保存は「常温がおすすめ」とされています 。   

その理由は、「冷蔵庫に入れると、確かに長期間保存はできるんだけど、水分が飛んで硬くなってしまったり、せっかくの香りが飛んでしまう」からだそうです 。   

結論 | 香りを守るなら「常温・密封」

テーブルの上に常温で置かれた、袋の口をしっかり閉じた黒糖製品を描いた油絵風イラスト。透明な袋の中に黒糖の塊が見え、温かい光と木目の質感が柔らかい筆致で表現された横長構図。

純黒糖の命である「香り」と「風味」を守りつつ、カビも防ぐベストな方法は、以下の通りです。

  1. 「密閉容器」に入れる ジップロックやタッパー、パッキン付きの瓶など、空気をしっかり遮断できる容器に入れます。
  2. 「常温の冷暗所」で保存する  直射日光の当たらない、キッチンの棚の中などで大丈夫です。   

やってはいけないのは、袋の口を「輪ゴムで留める」だけの保存です 。これでは湿気を防ぎきれず、カビの原因になります。   

特に夏場や梅雨時期など、どうしても心配な場合だけ、香りが飛ぶのを覚悟の上で「密閉して冷蔵庫」に入れるのが次善の策となります 。   

FAQ

黒糖と黒砂糖は同じ?

呼称は同じ。重要なのは純黒糖か加工黒糖か。

純黒糖の見分け方は?

原材料が「さとうきび」のみ。複数記載なら加工黒糖。

保存は常温と冷蔵どちら?

香り重視は常温・密封。梅雨時のみ密封冷蔵。

三温糖との違いは?

三温糖の茶色はカラメル化による色と香り。栄養は白砂糖とほぼ同じです。

まとめ

本物の黒糖「純黒糖」は、奥深く、知れば知るほど面白い食材です。

  • 「黒糖」と「黒砂糖」は、基本的に同じもの。
  • 本当に重要なのは「純黒糖」「加工黒糖」か。
  • 見分けるポイントは、原材料が「さとうきび」のみかどうか。
  • 沖縄には10時と15時に、お茶と黒糖で休憩する「ジュウジジャー」「サンジジャー」文化がある 。   
  • 産地(8島)によって味が全く違うので、ぜひ食べ比べてお気に入りを見つけてほしい。   
  • 保存は、香りを守るため「常温」で「しっかり密封」がベスト 。   

ぜひ、あなたの「お気に入りの純黒糖」を見つけて、その豊かな風味を楽しんでみてください。

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この記事を書いた人

管理栄養士・調理師

病院食・学校給食、行政の料理教室講師などで、食と健康の専門家として合計17年の実務経験を積む。 現在も行政の立場から、住民の健康増進をサポートしている。

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